Novelglue Novelglue

FAQ & Glossary

よくある質問と
用語。

Novelglue (FP-121) について頻繁に寄せられる質問に、本サイト掲載の一次情報に基づいて回答する。

開発段階について: 本ページに記載する医療応用のデータは、いずれも非臨床 (動物・in vitro) 試験の結果である。FP-121 は開発中の材料であり、医療機器・再生医療等製品としての承認を取得していない。ヒトに対する有効性・安全性は確立されていない。

Frequently Asked Questions

よくある質問

01

Novelglue (FP-121) とは何ですか。

イガイ (ムール貝) の足糸タンパク質 fp-1 に着想を得て設計された、組換え接着タンパク質である。湿潤環境で接着し、かつ細胞の接着・増殖を促す性質を併せ持つ点が特徴で、株式会社ノベルジェンが開発している。分子としての呼称は FP-121、技術・製品群としての呼称が Novelglue である。

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02

どのような分子構造ですか。

両端に接着ドメイン、中央に機能ドメインを配した FP1–FP2–FP1 の構造を持つ。分子量は約 27 kDa で、大腸菌で発現させる組換えタンパク質である。中央の FP2 をカセットとして差し替えることで、EGF や標的ペプチドなどの機能を内包できる設計になっている。

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03

なぜ濡れた場所で接着できるのですか。

両端の FP1 ドメインが、組織表面の水酸基 (–OH)、アミノ基 (–NH₂)、カルボキシ基 (–COOH)、スルホ基 (–SO₃H) と相互作用するためである。水を排除して接着する一般的な接着剤と異なり、水が存在する条件を前提に設計されている。必要に応じて Tyr→DOPA 修飾を加え、金属イオン配位による接着力の向上を図ることもできる。

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04

接着強度はどれくらいですか。

生理食塩水中での引張強度は 63 kPa である。フィブリン糊の約 30 倍に相当する (フィブリン系シーラントは湿潤下で 2–5 kPa)。血液・骨髄液・関節液といった術野の条件下でも接着性能を発揮する設計である。

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05

フィブリン糊との違いは何ですか。

接着強度と原料の 2 点で異なる。強度は 63 kPa 対 2–5 kPa である。またフィブリン糊はヒト血漿由来のため患者同意書と供給上の制約を伴うが、Novelglue は大腸菌による組換え生産であり、ウイルス・プリオン感染のリスクが原理的に存在せず、同意書も不要である。保管も常温・遮光で 1 年と扱いやすい。

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06

PMMA 骨セメントとの違いは何ですか。

重合熱の有無が最大の違いである。PMMA は重合時に 70°C を超える発熱があり、未重合 MMA の細胞毒性と併せて周囲組織の壊死が懸念される。Novelglue は重合発熱がなく、生体適合性のタンパク質を基盤とするため、骨芽細胞の活動を抑制しない。AMED 橋渡し研究事業のラット大腿骨モデルでは、3 週で溝を骨形成が埋め、5 週で表面皮質骨が再生している。

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07

動物由来の原料を使っていますか。

使用していない。大腸菌を宿主とする組換え生産であり、アニマルフリーである。Matrigel™ (マウス EHS 肉腫由来) のようなロット間変動や、天然イガイ抽出物のような個体差・病原体リスクを回避できる。FDA Modernization Act 2.0 や PMDA のアニマルフリー動向とも整合する。

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08

安全性はどこまで確認されていますか。

ISO 10993 に準拠した生物学的安全性試験のうち、細胞毒性 (IC50 1.08 ± 0.30 mg/mL)、遺伝毒性、溶血性、刺激性、埋植の 5 項目が完了している。感作性は実施中、生分解性は計画中である。急性毒性は LD50 推定 1.41 g/kg で、想定使用量に対して約 2,100 倍の安全域がある。ただしこれらは研究グレードでの実施結果であり、薬事申請には GLP グレードでの再実施が必要となる。

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09

医療機器や医薬品として承認されていますか。

承認は取得していない。Novelglue (FP-121) は開発中の材料であり、現在は非臨床 (前臨床) 段階にある。本サイトに掲載している医療応用のデータは、いずれも動物試験または in vitro 試験の結果である。ヒトに対する有効性・安全性は確立されていない。First-in-Human は 2028 年以降を目標としている。

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10

半月板の試験結果を教えてください。

香川大学医学部 整形外科との共同研究として、ウサギ内側半月板の縦断裂モデル (前方 white–white zone に 5 mm) で検証した。FP-121 20 mg を局所投与し垂直マットレス縫合 2 糸を行う群と、縫合 2 糸のみの群を各 6 膝で比較し、術後 12 週で評価した。組織学的治癒率は縫合単独 8.3 ± 20.4% に対し FP-121 併用 50.1 ± 25.3% (対応のある t 検定, p = 0.025)、断裂部の架橋は縫合単独 6 膝中 1 膝に対し FP-121 併用 6 膝中 5 膝であった。非臨床試験の結果である。

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11

NovelMatrix、NovelGlue、NovelDDS はどう違いますか。

同じカセット基盤から派生した 3 製品である。NovelMatrix は細胞培養基材で、浮遊性細胞を接着状態で維持しつつ増殖させる。NovelGlue は骨・軟骨・歯科用の接着剤で、β-TCP との練和により骨パテとしても使える。NovelDDS は接着剤そのものを薬剤キャリアへ転換する構想で、現在は設計段階にある。

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12

細胞培養基材として Matrigel™ とどう違いますか。

由来と再現性が異なる。Matrigel™ はマウス EHS 肉腫由来の天然抽出物であるためロット間変動が大きく、GMP 対応が難しい。NovelMatrix は完全な組換え生産でロット再現性が高く、GMP 移行に適する。加えて、浮遊性細胞を接着状態で培養できること、EGF カセットにより培地への外来 EGF 添加を削減できること、酵素を用いずに剥離できるため細胞表面抗原を保持できることが特徴である。

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13

保管や輸送の条件は。

常温・遮光で 1 年間安定である。冷蔵・冷凍の物流 (コールドチェーン) を必要としない。既存の手術手技に 1 バイアルを加えるだけで使用でき、専用の器械や細胞取扱い設備も不要である。

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14

知的財産はどうなっていますか。

基本特許は「接着性及び機能性を有する組換えタンパク質並びにそれを含む組成物」として、日本出願 JP 2023-030567 (2023 年 2 月 28 日)、国際出願 PCT/JP2024/007452 を行い、物質特許は日本・米国・欧州の各国移行を完了している。半月板損傷接着の用途についても出願済みである。組成・用途・製法・製剤の 4 層で構成している。

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15

第三者による検証や公的資金の獲得はありますか。

AMED 橋渡し研究事業に採択されている。シーズ H (2025–26) は京都大学で骨接着を、シーズ A (2025–26) は北海道大学を拠点として香川大学の石川正和教授が半月板を担当している。基盤となる研究成果は査読誌 Materials & Design (Kawakami Y et al., 2025;255:114153) に掲載された。ほかに NEDO 研究開発型ベンチャー支援事業 (2018)、東洋経済「すごいベンチャー 100」選出 (2025)、HVC KYOTO 2023 関西イノベーションイニシアティブ賞などがある。

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16

臨床試験や上市の時期の見通しは。

3 フェーズで計画している。Phase 1 (2026) は被験品の規格化と PMDA 薬事戦略相談、Phase 2 (2027) は ISO 10993 準拠の GLP 安全性試験と大動物 (ヒツジ・ブタ) での PoC、Phase 3 (2028 年以降) は香川大学・京都大学を起点とした医師主導治験から企業治験へ進み、日本 → 欧州 (CE / MDR) → 米国 (FDA) の順で申請する。あくまで現時点の計画であり、確定した時期ではない。

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17

共同研究や導入を検討したい場合の窓口は。

お問合せフォーム、または office@novelgen.jp から連絡されたい。共同研究、ライセンス、投資、製品評価のいずれの相談も受け付けている。検討段階に応じた資料を用意している。

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Glossary

用語集

本サイトで用いる固有の概念を定義する。

FP-121
Novelglue の分子としての名称。FP1–FP2–FP1 の 3 ドメイン構造を持つ約 27 kDa の組換えタンパク質で、大腸菌で発現させる。
イガイ足糸タンパク質 (MFP) / Mussel foot protein (MFP)
イガイが岩などに固着するために分泌する足糸 (バイサス) を構成するタンパク質群。fp-1 から fp-6 が知られ、なかでも fp-1 が湿潤環境での接着に重要とされる。Novelglue はこの fp-1 に着想を得ている。
DOPA (3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン) / DOPA (3,4-dihydroxyphenylalanine)
チロシン残基が水酸化されて生じるアミノ酸。カテコール構造により金属イオンとの配位結合、水素結合、π-相互作用を形成し、湿潤環境での接着に寄与する。FP-121 では任意の後修飾として導入できる。
カセット設計 / Cassette design
FP-121 の中央にある FP2 ドメインを差し替え可能な区画として扱う設計思想。EGF 様ドメイン、骨形成モチーフ、抗菌ペプチド、標的ペプチドなどを組み込むことで、単一の基盤から用途別の派生製品を作り分けられる。
white–white zone (白色–白色領域) / White–white zone
半月板のうち血流が乏しい内側の領域。血液供給がないため、縫合しても生物学的な治癒がほとんど起こらず、従来は部分切除が選ばれることが多かった。半月板の外周側から red-red、red-white、white-white と区分される。
アニマルフリー / Animal-free
製造工程に動物由来の原料を用いないこと。ウイルス・プリオン等の感染リスクと、個体差に由来するロット間変動を避けられる。再生医療等製品の規制対応において重視される要件である。
ISO 10993
医療機器の生物学的安全性評価に関する国際規格群。細胞毒性、感作性、刺激性、遺伝毒性、埋植、血液適合性などの試験項目を定める。薬事申請にあたっては GLP 準拠での実施が求められる。
β-TCP (β-リン酸三カルシウム) / β-TCP (beta-tricalcium phosphate)
生体内で吸収される骨補填材。骨伝導性を持ち、新生骨への置換が進む。NovelGlue と練和することで、骨欠損部に充填できる骨パテの形状になる。
First-in-Human (FIH)
開発中の医薬品・医療機器をヒトに初めて適用する試験。Novelglue では 2028 年以降を目標とし、香川大学・京都大学を起点とした医師主導治験から着手する計画である。
AMED 橋渡し研究事業 / AMED translational research programme
国立研究開発法人日本医療研究開発機構 (AMED) による、大学等の基礎研究成果を実用化へつなぐ支援事業。シーズ A・シーズ H などの段階区分があり、拠点となる大学を通じて採択される。

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